リセールバリューで見る楽器選び ── 売る時に損しないブランドはどれか
楽器を選ぶとき、多くの人は音色や弾きやすさを基準にします。しかし将来手放すことまで考えると、ブランドやモデルによって買取相場の水準には大きな差があります。ここでは、当サイトが出典つきで保有している買取相場データから、買取上限が高く保たれているブランド・モデルをカテゴリ別に抽出し、比較しました。なお本記事は新品価格を扱わず、公開されている買取相場の実測値だけで構成しています。上限表記と実際の査定額には差が出やすい点は「楽器買取の『上限価格』の読み方」もあわせてご確認ください。
エレキギター・アコースティックギター ── ブランドより「型」で差がつく
同じFender系列でも、価格帯はモデルによって大きく分かれます。普及帯のSquierストラトキャスター(Lシリアル版)は10,000円である一方(出典)、Fender本家のCustom Shop 1959 Stratocaster Heavy Relicは330,000〜400,000円という買取相場が公開されています(出典)。PRS Custom 24(10 Top・美品)は380,000〜460,000円(出典)、Gibson Les Paul Custom(1990年代)は320,000〜380,000円です(出典)。
アコースティックギターも、同一ブランド内での差が顕著です。Martinの中でも、希少材を使ったフラッグシップのD-45GEは2,000,000円という買取相場が公開されている一方、定番モデルのD-28は167,000円です(出典)。同じブランドでも、モデルの希少性・グレードによって一桁近く差が開くことがわかります。エレキギター・アコースティックギターそれぞれの相場は「エレキギターの買取相場」「アコースティックギターの買取相場」で確認できます。
シンセサイザー ── ヴィンテージと現行機で価値の次元が違う
シンセサイザーは、他のどのカテゴリよりもヴィンテージ機と現行機の差が大きいカテゴリです。Moog IIIc(w/Ribbon)は2,500,000円(出典)、KORG PS-3300は1,620,000円という買取相場が公開されています(出典)。一方、現行の普及帯コントローラーであるArturia Spark LE・KeyStep 32は、いずれも2,000円です(出典)。同じシンセ/DTM機材というカテゴリの中に、1,000倍以上の開きが存在することになります。カテゴリ全体の相場は「シンセ/DTM機材の買取相場」で確認できます。
電子ピアノ ── ブランドより「経過年数」が支配する例外カテゴリ
電子ピアノは、ここまでのカテゴリとは違う値動きを見せます。フラッグシップ機であっても、経過年数の影響を強く受けるためです。YAMAHA N3Xは現行に近い個体で1,000,000円、2016年製までの個体では450,000円まで下がるという買取相場が公開されています(出典)。Roland GP-9Mも900,000〜1,000,000円です(出典)。一方、CASIOの普及帯モデルCTK-7000は3,800〜6,800円にとどまります(出典)。フラッグシップ機は普及帯より明確に高値を維持しますが、そのフラッグシップ機自体も「電子ピアノの買取と処分・5年の壁」で触れているとおり、時間の経過とともに確実に下がっていきます。ブランド・グレードよりも経過年数が支配的なのが、このカテゴリの特徴です。カテゴリ全体の相場は「電子ピアノ・鍵盤の買取相場」で確認できます。
管楽器 ── 上位グレードと入門モデルの差
管楽器も、上位グレードと入門モデルの差がはっきり出るカテゴリです。Yanagisawaの上位アルトサックスA-WO37GPは中古品550,000円〜新品同様747,000円という買取相場が公開されています(出典)。Bachのトランペットも同様で、学生向けの入門モデルTR600(ラッカー仕上げ)は13,000〜19,500円という「学生向け普及機は査定額が低め安定」という要因が示されている一方(出典)、同じBachブランドの上位モデルStradivarius Model 37は130,000円という実際の買取実績も公開されています(出典)。同一ブランドでもグレードによって6〜10倍程度の差が出る点は、ギターやシンセと共通する傾向です。管楽器全体の相場は「管楽器の買取相場」で確認できます。
エフェクター・DJ機材 ── ブランドを選んでも上限が伸びにくいカテゴリ
一方で、ブランドを選んでも買取上限そのものが伸びにくいカテゴリもあります。エフェクターの買取相場の中で、当サイトが保有するデータで最も買取上限が高いモデルでもMoog Vocoderの135,000円にとどまり、大半のモデルは数万円台に収まります。DJ機材の買取相場は現行のPioneerがほぼ独占していますが、それでも世代交代の影響が大きく、CDJ-2000 NXS2が120,000円であるのに対し、1世代前のCDJ-2000 nexusは77,000円で、同じPioneerブランド内でも世代が変わるだけで3割以上下がっています(出典)。エフェクター・DJ機材は、資産として保有価値を期待するよりも「使い切ってから手放す」前提で選ぶ方が現実的なカテゴリだと言えます。
まとめ ── 選ぶときに意識したい3つの傾向
ここまでのデータを整理すると、次の3つの傾向が見えてきます。
- エレキギター・アコースティックギター・管楽器は、同じブランドの中でもグレード・希少性によって買取上限が大きく変わる。ブランド名だけでなく「型」まで見て選ぶと、将来の買取相場に差が出やすい。
- シンセサイザーは、ヴィンテージ機と現行機で価値の次元そのものが違う。現行の普及帯機材に資産価値を期待するのは難しい。
- 電子ピアノ・DJ機材は、ブランドやグレードよりも経過年数・世代交代の影響が強い。値落ちを前提に、早めの判断が有利に働きやすい。
いずれのカテゴリも、ここで紹介した数字は上限表記や公開データにもとづく目安であり、実際の査定額は個体の状態や依頼する時期、業者によって変わります。具体的なモデルの相場は「買取相場チェッカー」で型番から検索でき、複数社の価格差は「楽器買取価格の複数社比較」で確認できます。
※ 本記事で紹介した買取相場は、各業者が公開している情報にもとづき当サイトが出典つきで収集・掲載しているデータからの転記です。新品価格との比較ではなく、買取相場の実測値のみで構成しています。実際の査定額は個体の状態・付属品・時期や依頼する業者によって異なります。
